「自社では脱PPAPを決めたのに、取引先からはまだパスワード付きZIPファイルが送られてくる……」

「相手に『PPAPをやめてほしい』と伝えるのは、角が立ちそうで言い出しづらい」

総務、経理、法務、営業管理など、日々の業務で社外と重要なファイルをやり取りする担当者様にとって、**脱PPAP(パスワード付きZIPファイルとパスワードの別送運用からの脱却)を進める上で最大のハードルとなるのが「取引先(社外)との調整」**です。

自社内で完結するシステムの導入とは異なり、社外が関わる業務フローの変更は一筋縄ではいきません。しかし、昨今のサイバー攻撃の高度化を考慮すると、取引先とのファイル授受における安全性の確保は企業にとって急務です。

本記事では、取引先に負担や不快感を与えずに脱PPAPへ切り替えてもらうための具体的なノウハウを解説します。そのまま使える依頼メールのテンプレートや、よくある反論への返し方、安全でスムーズな代替手段について網羅していますので、社外調整の参考にしてください。


なぜ取引先対応が「脱PPAP」の壁になるのか

自社で脱PPAPの方針を固めても、業務の現場でスムーズに移行できない最大の理由は、ファイル授受が「相手が存在する業務」だからです。

取引先対応が壁となる背景には、主に以下の3つの要因があります。

1. 相手企業における長年の慣習と社内ルール

多くの企業において、PPAPは長年「ビジネスマナー」や「セキュリティ対策の標準」として定着してきました。相手企業にとっても「自社のセキュリティ規定で定められているから」「これまでこの手順で問題がなかったから」という前提があり、単に「やめてください」と伝えるだけでは受け入れられにくい側面があります。

2. 「相手の業務負担を増やしてしまうのではないか」という懸念

「新しいツールを使うためのログインやアカウント登録を求めると、相手の手間を増やしてしまうのではないか」「自社の都合で相手の業務フローを変えさせるのは申し訳ない」という担当者様の心理的ハードルが、積極的な働きかけを阻んでしまいます。

3. 一方的な拒否による関係悪化の恐れ

「明日からパスワード付きZIPファイルは一切受け取りません」と急に通知してしまうと、業務の遅延や取引先との関係悪化につながるリスクがあります。

しかし、だからといってPPAPを放置し続けると、パスワード付きZIPファイルを隠れ蓑にしたマルウェア(Emotetなど)の感染リスクや、誤送信による情報漏洩リスクに自社が晒され続けることになります。取引先との良好な関係を維持しつつ、安全な環境へ移行するためのステップが必要です。


取引先に「脱PPAP」をお願いするときに伝えるべき理由

取引先に切り替えを依頼する際は、「自社のルールが変わったため」と一方的に伝えるのではなく、「相手にとってもメリットがある」「社会全体・業界全体のセキュリティ基準の変化である」という文脈で伝えることが重要です。

交渉をスムーズに進めるために、以下の3つのポイントを伝えましょう。

1. 最新のセキュリティ脅威と社会的な動向

PPAPは暗号化されているため、メールサーバーでのウイルススキャンが機能しません。これを悪用し、ウイルスを仕込んだパスワード付きZIPファイルを送りつける攻撃(Emotetなど)が猛威を振るっています。

2020年11月に内閣府・内閣官房にてPPAP廃止が決定されたことを皮切りに、大手企業でも脱PPAP宣言が相次いでいます。自社独自のワガママではなく、社会的なセキュリティリスクへの対策であることを説明すると納得感が生まれます。

2. 「お互いの安全」を守るための措置であること

「自社を守るため」というスタンスではなく、「万が一マルウェアに感染した場合、貴社にも多大な被害が及ぶ可能性があるため、双方が安心して取引できる環境を作りたい」という共存・協力のスタンスを示すことが大切です。

3. 双方の業務効率化につながること

PPAPの運用は、送信側も受信側も「パスワードの発行・別送」「パスワードの検索・入力・解凍」という無駄な工数が発生しています。「新しい方法へ移行することで、お互いにパスワードを打ち込む手間がなくなります」という明確なメリットを提示しましょう。


そのまま使える!反発されにくい「脱PPAP依頼メール」文例

取引先へ連絡する際、角を立てずに切り替えをお願いできるメールテンプレートを2パターンご紹介します。自社の状況に合わせて調整してご活用ください。

パターン①:ファイルを受け取る際(受領時の運用変更依頼)

取引先から自社へファイルを送ってもらう際の「PPAP廃止」をお願いする文例です。

件名:【ご協力のお願い】弊社セキュリティポリシー変更に伴うファイル受領方法について
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇 様

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社〇〇の〇〇でございます。
このたび当社では、昨今のサイバー攻撃(マルウェア感染等)への対策強化、および政府ガイドラインの推奨に基づき、
全社的に「パスワード付きZIPファイル(いわゆるPPAP)」の受領を段階的に廃止することとなりました。
つきましては、今後弊社宛にファイルをお送りいただく際、以下のいずれかの方法にてご送付いただけますよう
ご協力をお願い申し上げます。

【今後のファイル受領方法】
1.貴社ご指定のファイル転送サービス又はオンラインストレージなどでご送付
2. 当社より発行する「ファイル受信リンク」へのアップロード
■完全移行日:202X年〇月〇日より

貴社におかれましては、お手数をおかけすることとなり誠に恐縮ではございますが、
双方のセキュリティ確保のため、何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
ご不明な点や、上記方法でのご対応が難しい場合は、お気軽にご相談くださいませ。


パターン②:こちらから送る際(送信時の運用変更案内)

自社から取引先へファイルを送る際、安全なURLで送付することを事前にお知らせする文例です。

件名:【お知らせ】ファイル送信方法の変更に関するご案内(パスワード付きZIP廃止)
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇 様

いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。

当社では、セキュリティ強化の一環として、取引先様へお送りするファイルの送信方法を、
これまでの「パスワード付きZIPファイル」から「セキュリティ機能付きダウンロードリンク」へ切り替えることといたしました。
今後は、当社からのファイル送付の際、メール本文にダウンロード用のURLが記載されます。
受信者様での事前のアカウント登録や、別途お送りしていたパスワードの入力は不要で、そのまま安全にファイルをダウンロードしていただけます。
【変更開始日】 202X年〇月〇日(〇)より

お受け取りにあたり、貴社にご負担をおかけすることはございませんが、万が一ダウンロードの手順等でご不明な点がございましたら、
お手数ですが本メールへの返信にてお知らせいただけますと幸いです。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

取引先からの「よくある反論」と角を立てない返し方

依頼メールを送付した後、取引先から疑問や反論が寄せられることがあります。よくある3つのパターンと、相手に配慮した打ち返し方を確認しておきましょう。

反論1:「自社の社内規定で、ファイル送付はパスワード付きZIPしか認められていません」

【角を立てない返し方】
「貴社のセキュリティ規定についてご教示いただきありがとうございます。かしこまりました。それでは、当社から『ファイル受信用Webリンク』を発行してお送りいたします。そちらのリンクを開いてファイルをアップロードしていただく方法であれば、貴社のメール規定に抵触せず、パスワードZIP化の手間もなく安全にご共有いただけますがいかがでしょうか?」

★ポイント:相手の規定を否定せず、「弊社側が受け皿を用意する」ことで代替案を提示し解決を図ります。

反論2:「新しいツールを使うためのユーザー登録やアカウント作成は手間なのでできません」

【角を立てない返し方】
「ご負担をおかけし申し訳ございません。今回当社がご用意した方法は、貴社でのアカウント登録やソフトウェアのインストールは一切不要でございます。お送りしたURLをクリックし、ワンタイムURL認証で安全にファイルをダウンロード/アップロードいただけますので、ご安心ください。」

★ポイント:相手に「ID管理や登録の手間が一切ないこと」を明確に伝え、心理的ハードルを下げます。

反論3:「今までパスワード付きZIPで問題がなかったのに、なぜ変更が必要なのですか?」

【角を立てない返し方】
「おっしゃる通り、これまでは標準的な手法として広く使われておりました。しかし近年、パスワード付きZIPファイルの仕組みを悪用してウイルススキャンをすり抜けるサイバー攻撃(Emotet等)が急増しており、大手企業でも受領拒否の動きが広がっております。万が一にも双方に被害が出ないよう、予防措置として導入させていただいた次第です。何卒ご理解いただけますと幸いです。」

★ポイント:「相手の知識不足」を指摘するのではなく、「社会的な攻撃手法の悪質化」に焦点を当てて客観的に説明します。


取引先の負担をゼロにする代替手段の提示方法

取引先に「PPAPをやめてほしい」と依頼する以上、相手にシステム的な負担やストレスをかけない代替手段をこちらで用意しておくことが成功の絶対条件です。

特に、重要ファイル転送プラットフォーム「Kozutumi(こづつみ)」は、脱PPAPにおける社外調整の負担を極限まで減らす設計になっています。

取引先に喜ばれる「Kozutumi」のメリット

1. アカウント登録不要のゲスト機能

取引先は、ワンタイムURL認証を利用することで、アカウント登録をせずにゲストユーザーとしてファイルのダウンロードやアップロードが可能です。

2. ZIPへの圧縮・解凍が不要

ZIPファイルでファイルを圧縮せず、ブラウザ上にドラッグ&ドロップするだけで送信が完了します。パスワードを別送したり、受け取ったパスワードを入力して解凍したりする手間から解放されます。

3. 「ファイル受信リンク」で送付をリクエスト

自社宛にファイルをもらう際は「ファイル受信リンク」をコピーし、取引先にメールやチャットで共有するだけで、取引先はその専用リンクから安全にファイルをアップロードできます。宛先入力の手間を省き、間違いも防げるため、相手にとっても非常に親切な設計です。相手は無料アカウントを作成するか、ワンタイムURLを用いたゲストアップロードを選ぶことができます。

4. パスワード付きファイルは自動で送信不可

Kozutumi上では、そもそもパスワード付きZIPやPDF等のファイルは送受信できない仕様になっています。これにより、人為的なPPAPの継続をシステム側で強制的に防ぐことができます。

取引先に「手間がかからない」環境を提示することで、社外調整のハードルは劇的に下がります。


段階的に切り替える進め方(4つのステップ)

取引先との混乱を避け、安全かつ確実に脱PPAPを完了させるための具体的な進め方を4つのステップで解説します。

Step 1:社内ルールの明確化と代替ツールの準備

いきなり社外へ通知する前に、自社内のルール(パスワード付きZIPの禁止、推奨する代替ツール、例外対応フロー)を明確にします。Kozutumiのような「相手に負担をかけないツール」を選定し、社内での運用テストを済ませておきましょう。

Step 2:移行期間(猶予期間)を設定し、事前周知を行う

「明日から即時禁止」とするのではなく、1〜2ヶ月程度の「移行期間」を設けます
日常的なメールの署名欄に「※当社では〇月〇日よりセキュリティ対策のためパスワード付きZIPファイルの受領を廃止いたします」と一言添えるなど、緩やかな事前周知を行います。

Step 3:重要な取引先への個別案内・事前アプローチ

やり取りの頻度が高い重要顧客や、過去にファイル授受で独自のルールがあった相手に対しては、一斉送信メールだけでなく、営業や窓口担当者から個別に「次回からこのような方法に変わります」と事前に一報を入れておきます

Step 4:完全移行と定期的な運用フォロー

完全移行日を迎えたら、原則として新しい運用へ切り替えます。万が一、取引先から「アップロード方法がわからない」といった問い合わせが入った場合に備え、担当部署でサポートできる体制を整えておくことが重要です。


まとめ:取引先との関係を損ねずに脱PPAPを成功させよう

取引先がまだPPAPを使っている場合の切り替えアプローチと依頼方法について解説しました。

社外対応を成功させるポイントは以下の3点です。

  • 一方的な押し付けではなく「双方の安全確保」という大義名分を丁寧に伝える
  • 取引先がアカウント登録不要で使える「負担のない代替手段(Kozutumiなど)」を用意する
  • 十分な移行期間を設け、メールテンプレートを活用して段階的に進める

社外との関係を良好に保ちながらセキュリティレベルを引き上げることは、適切なツールと伝え方があれば決して難しくありません。自社のセキュリティを守りつつ、取引先からも「セキュリティ意識が高く、配慮が行き届いた信頼できる企業だ」と感じてもらえるよう、スムーズな脱PPAPを進めていきましょう。


社外調整をスムーズに進めたい担当者様へ

重要ファイル転送プラットフォーム「Kozutumi(こづつみ)」は、社外とのファイル授受に特化したサービスです。

取引先にアカウント作成を求めない「ゲスト機能」や、相手にURLを送るだけでファイルを受け取れる「ファイル受信リンク」を備えており、取引先に負担をかけずに脱PPAPを実現可能です。

さらに、万が一の誤送信に備えた「送信取消機能」「タイムスタンプによる証拠保全」など、ビジネスに必要なセキュリティ要件を網羅しています。

まずは、どのような使い勝手かお試しいただき、社外調整の第一歩を踏み出してみませんか?